主催挨拶 Greetings


「要するに」と所長は結論づける。「ボカノフスキー法とは一連の成長阻害措置だ。成長を邪魔すると、パラドキシカルにも、卵は増殖することで対抗するのだ」

オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』

 

どうも、イプシロン階級です。

上記の「ボカノフスキー法」をざっくり説明すると「人間の胚にX線だのアルコールだのを死ぬほど浴びせかけることで分裂を促し、大量の下層階級市民を生産する方法」でして。

もちろんこんなやり方で「正常な」ヒトが生まれるはずもなく。下層市民の頭数を稼ぐことができる代わりに、個々の人間の知能や身体能力は、「一連の成長阻害措置」により毀損され…要は僕みたいなバカだとかブスになります。バカとブスこそ東大に行け(むちゃぶり)

天然自然に近い形で産まれてきた才気溢れる支配階級が、工場の生産ラインで才能を摘まれた子供達を大量生産する…なんと残酷で悍ましい格差社会。

…そんなことしなくても、個々の人間の能力には厳然たる落差があるというのに。

 

閑話休題、前回のバナナ祭は個人的に割と成功だったな、と思っておりまして。

もちろんネームバリューのない当大会のこと、集客数はトップクラスに少なかったことに変わりはありませんし、翌週・翌々週に開催された大規模大会と比べれば吹けば飛ぶチックな印象を持った方もおられるかとは思いますが。

しかしながら、参加者の皆様からの反響は、決して悪くはなかったと自負しておりまして。

選手としても観客としてもエキサイトした、成績以外の表彰があるのはいいと思った、バナナ多すぎクッソワロタ、一般教養で挑みかかったら雑学部門優勝できた、負けたけれども楽しかったからまたやってくれ…etcetcetc.

かつて壊れた心で壊れた言動を繰り返し、一度逐われるように界隈を後にした者でも、「ここまでやれた」ことは、率直に嬉しいことでした。

 

僕が中核的な立場を担った大会の方向性は、その時々でバラバラでした。

ほぼ完全に実力主義を排し、スコア以外の評価軸によるネタバトルに徹した「しぃ☆PartyDDR大会」

ネタばかりではどうにもね、と思い方針転換して作った「ガチバトルの結果で陣取り合戦(リバーシ)をやる」ガチネタ混淆団体戦の「アタック☆DDR」

世間の大会にありがちな「上位者優遇」の逆張りをすれば強豪でなくとも楽しめるのでは?と思い立った初のガチバトル(?)大会のごりらいぢめ

「下位者優遇・上位者冷遇」ではなく「順位によらず機会均等」をコンセプトにした鬼モード風大会のおにまつり

そして「下位プレーヤーへの奇を衒った忖度は捨てつつ、敗れた後のコンテンツを拡充することで裾野を広げる」ことを試みたバナナ杯」「バナナ祭

その時々でやりたいことは違う内容であり、必ずしも方向性は一貫していませんでしたが、ひとつだけ揺るがなかったことがあるとすれば、それは「強者ではないだれかこそが主役である」ことでした。

 

世間的・一般的に広く受け入れられている大会のほとんどにおいて、主役とみなされるのは往々にして「勝者」や「強者」である…というのは、善かれ悪しかれ事実であって。

勝った者が栄冠を独占し、負けたらそこでゲームオーバー。その場に残って声援を飛ばすことはできるかもしれないけれど、もはや選手なのか観客なのかもわからない「エキストラ」の座に甘んずるのが世の常であることは、どうあれ否みがたいことです。

個人としての感想を述べるのであれば、僕は別にそれでも構わない、と思っています。僕とてそれなりに「ガチ勢」としてDDRに取り組んだり取り組まなかったりしてきているわけで。

「まけたけどごほうびくださいな☆」と懇願するような甘えた根性は、断じて持ち合わせていないつもりです。

負けるのは僕が弱いからだ。勝てないのは僕が怠慢だからだ。勝ちたければ強くなればいい。強くあればいい。負けるのも悔しいのも大会がつまらないのも全部僕が悪い。

少なくとも、「プレーヤーとしての」僕は、それでいいと考えます。

自分がどんなに才能に恵まれなくても、相手がどれほど才気煥発な実力者であっても、シンプルにスコアで相手を圧倒すればよい、ただそれだけの話です。

 

でも、片一方で。

僕はDDRというゲームにおいて、強者の立場に立つことは、ついに叶いませんでした。

ハクスリーの描いた新世界において、下層労働者のイプシロン階級が知識人たるアルファ階級に取って代わることは、どうあがいてもイルカがもらえる…もとい、どうあがいてもできないように。

もちろん、僕も「ガチ勢」の端くれなので、個人主催の大会であれば、そのレベル感によってはマグレで決勝くらいまで勝ち進めたこともあります。優勝景品のマグカップにワインをなみなみ注いでガブ飲みしたり、準優勝景品の高級梅酒を「独り占めするのもなんだから」と義実家にお裾分けし(て一緒にガブ飲みし)たこともありました。いや酒飲んでるだけだろこいつ

さりとて、毎回「それ」が出来るほどの業前を僕が持っているはずもなく。「それ」が出来る肝臓は持ってるけど

大抵の場合、あっけなく敗れて名前すらないモブとか「ここは しんきろうの町です。」と繰り返す村人Aのような「背景」に成り下がるのが常だったのは、言うに及びません。

ましてや公式大会など、僕の腕ではどうしようもないものであって。KAC?BPL?なんすかそれ?カニあんかけチャーハンとかブタパンチLOVEとかそんな感じのアレですか?いずれにせよ、僕にはなんの縁もありません。なんの爪痕も残せていません。

願わくば、勝って何者かになりたかった。何者かになって、もっとこのコンテンツの精髄を味わい尽くしたかった。

その劣等コンプレックスは、いつだって僕の心の「わりと目につきがちなところ」に、しぶとくも蟠り続けています。

 

惟うに。

僕のように「何者にもなれなかった」ことを悔しく思うひとは。

たぶん、それなりにたくさんいるのではなかろうか。

僕にはそう思えてなりません。

なればこそ、毎度のことではありますが、その信念を胸に懸けて、「敗者たちが楽しく遊び倒せる場」を作りたく思い、今回もバナナ大食い選手権大会を開催させていただこうと考えた次第です。ごめんなさいバナナ大食いじゃなくてDDR大会でした。

 

この世界は、決して。

選ばれた者ばかりが作ったわけではありません

そうである以上、「選ばれなかったアノニマスな僕たち」が、例えるならば道の真ん中を胸を張って歩いていくことは、何も悪いことではないはずであって。

そうすることが許される大会を作ることができれば、と希いつつ、今回の「バナナ界」をお送りいたします。

りんごとバナナの区別がつかない方、食べすぎた家系ラーメンのカロリーを消費したい方、坪野鉱泉で一汗流すつもりが間違えてDDRで汗だくになってしまった方の熱いご参加を、スタッフ一同お待ち申し上げております。いいよ来いよ!(待てそのワードはなんかよくない)

 

DDR Competition Banana Cup #3

"Mundus Bananarum (vel Musarum)"

Chief organizer

abr.